ゼンフィルとは

はじめに|医療系大学でのオーケストラ活動

医療系大学では、医科・看護・薬科・歯科系大学生の自主参加を募り、練習・演奏会を行う企画が数多く行われています。昭和56年には、全国の医療系大学の音楽団体や音楽同好者が集い、全日本医科学生オーケストラ連盟が設立されたほか、昭和61年には関東医科学生オーケストラ連盟が組織されました。また、大学入学年度ごとにしばしばオーケストラが結成されており、オーケストラ・ラポール(2015年度入学者)、交響楽団いろは(2016年度入学者)、オーケストラLION’s(2017年度入学者)、Orchestra Lilas(2017・2018年度入学者)、Orchestra Patria(2019・2020年度入学者)、オーケストラ・ニーチェ(2021年度入学者)など、数多くの演奏会が催されてきました。

本団体はその中でも、東京慈恵会医科大学医学部医学科、同看護学科、慶應義塾大学薬学部、星薬科大学ならびに聖路加国際大学の学生から構成される東京慈恵会医科大学音楽部管弦楽団が、第108・109・110回定期演奏会を開催した際の役員が中心となって、同団体の元団員や現団員、その他大学生・卒業生を募って演奏会を行うものです。ただし、これは特定の母団体を定めるものではありません。

ゼンフィル|「憧憬」がふたたび音になる場所

Sehnsucht Philharmoniker《ゼーンズフト・フィルハーモニカ》、通称ゼンフィルは、Sehnsucht;憧憬の名のもとに結成されたオーケストラです。団員の多くは東京慈恵会医科大学音楽部管弦楽団出身ですが、今回はその枠を超え、さまざまな場所から奏者が集まりました。旧友との再会、指揮者・米津俊広先生のもとで音楽をふたたび紡ぐ喜び、さらに新しい仲間を迎え、音楽を通じた新たなつながりが生まれることへの期待が、当団の結成を実現させました。

創立記念となる本演奏会では、マーラーが未完のまま遺した「終わり」の交響曲である第10番、そして「はじまり」の交響曲である第1番を取り上げます。交響曲第1番は、東京慈恵会医科大学音楽部管弦楽団第107回定期演奏会(2018年5月)でも演奏されました。当団にはこの演奏会を経験した者・経験しなかった者の双方が参加していますが、両者のつながりは新型コロナウイルス感染症の拡大によって一時失われてしまっていました。このようなつながりの切れ目は、多くのアマチュアオーケストラに当てはまります。奏者同士の深い結びつきを憧憬しながら再構築し、その文化を後世へと語り継ぐ―─当団の憧憬の精神は、本演奏会で取り上げる「終わり」と「はじまり」の象徴である2曲とも深く響きあいます。

当団は、音楽とともに、奏者、指揮者、そして観客のみなさまと過ごす時間そのものを何よりも大切にしています。すべての人と人とのつながりのもとに今、新たな音楽の輪が描かれる――ゼンフィルが紡ぐマーラーに、どうぞご期待ください。